令和元年12月21日、22日に開催された日本フットボール学会17回大会において本学の甲斐智大特任助教(スポーツパフォーマンス研究センター(以下「SP研究センター」)所属、本学OB)が、若手研究者の中で優秀な研究発表者へ贈られる学会奨励賞を受賞しました。
今大会のテーマは「フットボールの戦術と体力」で32名が口頭発表を行い、10名の若手研究者の中から2名が受賞しました。研究演題は「速度ベクトルを用いたサッカー選手の試合中における方向転換の定量」で、甲斐特任助教と髙井洋平准教授(鹿屋体育大学スポーツ生命科学系)が共著で発表しました。今回の研究内容は本学のサッカー部が過去3年間に行った公式戦のデータを基に、選手の位置座標から算出した速度ベクトルの向きの変化量を方向転換した角度と定義し、その特徴を定量したものです。この研究は、ミズノ株式会社との共同研究のアイディアと、鹿児島ユナイテッドFCからの現場における選手の評価に関する意見を組み合わせて遂行されました。
これまでは映像から試合時の方向転換の回数が分析されてきましたが、SP研究センターにおけるZXY Sports Tracking System(カイロンヘイゴ社)を活用したことでより精度の高い方向転換の定量化が実現しました。サッカー選手の、ゴールを狙うための加速の瞬間など、攻守さまざまなシーンに選手がどの方向に進みながら加速していくのかを科学的に明らかにすることにより、チーム戦略や体力的な課題解決等に結びつけることが可能となり、今後の戦術の一助となることが期待されます。
受賞報告を受けた松下雅雄学長は「従来の目の前で起きた技・結果を説明してきた時代から、現代は科学的根拠を技術や戦術に結びつけるような時代となってきた。SP研究センターを大いに活用して、これからも新しい時代に合った論文を発表してほしい」と期待を込めた言葉を添えて賞賛しました。
甲斐特任助教は「研究に携わってくれた方々の知識と、現在のSP研究センターの世界的にも稀有な設備や機器等を十分に活かせたことが、今回の受賞とつながりました。アイディアやご支援をいただいた多くの方に感謝しています。今回の発表が現場に役立つように、今後もさらに追及していきたい」と抱負を述べました。